全ての女性に平等に訪れる更年期。とうとう私にも、そのときがやってきました。
今年に入ってから、更年期症状が進行し、「更年期障害」の状態にまで至っていることに気づきました。更年期の現れ方は、本当に人それぞれです。誰もが同じように迎えるわけではなく、症状の強さも、出方も、感じ方も違います。
更年期とは、女性が閉経前後5年間の約10年間(およそ45〜55歳ごろ)を指します。年齢も早く症状が出る方もいれば、遅い方もいるようです。 卵巣から分泌されている女性ホルモン(エストロゲン)が徐々に減少することにより、心と体にさまざまな変化が起こることがあります。
この時期に見られる不調を「更年期症状」ともいい、たとえば、
・顔のほてり、のぼせ、異常な発汗
・めまい、頭痛、脂肪肝(肝臓異常)、肩こり、腰痛、関節痛、骨密度の低下、冷え、しびれ
・食欲不振、吐き気、胃痛、泌尿器系のトラブル
・気分の落ち込み、イライラ、不眠、集中力の低下、涙もろさ、物忘れ
・肌・粘膜・髪・目・口・デリケートゾーンなどの潤いを保つ働きが低下(体のあちこちが乾燥しやすい)
などが、代表的なものです。
症状が強まり、日常生活に支障をきたすほど悪化した状態のことを、「更年期障害」と言います。実際には、約8割の女性が何らかの更年期症状を感じていると言われていますが、まったく気づかずにその時期を過ごす人もいれば、症状を自覚しながらも病院を受診せずに我慢している人も少なくありません。中には、「年齢のせいだから仕方ない」「誰にでもあること」と思い込み、不調を抱えたまま日々を過ごしている方も多いようです。
私自身は、49歳くらいで閉経していたと思うのですが、2017年から2025年までの間に、親族の病気や死を立て続けに経験し、その心痛から心身ともにかなり疲弊していました。今思えば、それらの出来事に必要以上に引っ張られ、自分ひとりで背負い込み過ぎていたのかもしれません。何より、この時期には夫への不満も募るばかりで、私自身も素直に気持ちを伝えることができず、それもまた大きなストレスになっていたのだと思います。そうしたストレスの積み重ねに加えて、女性ホルモンの減少も重なり、次第に更年期症状が悪化していきました。
女性ホルモン(エストロゲン)は、脳から卵巣へ指令が送られて分泌されますが、更年期になると卵巣の機能が衰え、ホルモンがうまく分泌されなくなります。そのため、脳が何度も指令を出そうとして混乱し、自律神経が乱れてさまざまな身体の不調が起こるのです。更年期の症状は、単にエストロゲンの減少だけでなく、ストレス(仕事や家庭環境など)や、その人自身の性格・感じ方などが複雑に影響するため、出方には大きな個人差があります。そうして私は、いつの間にか更年期症状から更年期障害へと進行してしまったのだと感じています。ちょうどそれが、閉経前後の10年、まさに更年期にあたる時期と重なっていました。
私の症状としては、当初は頭痛、肩こり、首こり、腰痛、冷え、イライラ、肌の乾燥などがありました。でも、こうした不調はもともとよくあるものだったので、「更年期のせい」だとは全く思わず、仕方のないこととして受け止めていました。
ところが、2025年3月末に子どもの引っ越しを夫婦で手伝った際、夫とのやり取りの中で、私は何度も深く傷つく出来事に直面しました。それがきっかけで、地元に戻ってから一気に更年期の症状が悪化してしまったのです。とはいえ、振り返ってみると、それ以前からいろいろなことが重なっていたのだと思います。夫婦のこと、子どものこと、嫁としての立場、身内の病気や看病、私の実家の家じまい…。たくさんの問題に、ぶつかりながら過ごしていました。
子どもの引っ越しを終えてから、気持ちのコントロールが全然できなくなり、気分の落ち込みや憎しみの気持ち、突然の涙、そして何もやる気が起きない状態が続くようになりました。さらに、強い疲労感や睡眠の乱れ、吐き気、胃の痛み、耳の不調、髪のパサつきなど、心身にさまざまな不調が押し寄せてきました。とはいえ、いまだに身内の病気への対応や立ち回りが続いて、私自身の不調には誰も気づいてもらえず、わかってももらえない… そんな空気感のなかで、やらなければならないことへの負担が、苛立ちや無気力さを増していったんだと思います。
そんなふうに、いろんなことが積み重なっていく中で、「このままではまずい…」と思いながらも、心と体のバランスがぐちゃぐちゃでどうにもならない状況でした。とうとう大好きな実の妹とさえ、話をすることができなくなり、誰とも気持ちを共有したくなくなって…。「もうヤバい、ヤバイ、キツイ、しんどい」と頭はぐるぐるしていて、どうにかしたい一心で、調べてみることにしました。そこで目に入ったのが、「更年期」という言葉でした。詳しく調べていって、自分の不調と当てはまる症状がいくつもあって、「これか…」と思いました。そして、長い時間がかかりましたが、ようやく産婦人科を受診しました。病院では、更年期症状や不調の原因を探るための「女性ホルモン・甲状腺・血糖バランスを総合的に調べる血液検査」を6月にしました。
この結果からわかること
■甲状腺機能(TSH・FT3・FT4)
TSH(甲状腺刺激ホルモン):3.615(正常)
FT3:2.5(正常)
FT4:1.1(正常)
👉 甲状腺は正常範囲内。ホルモンによる代謝異常はなさそう
■ FSH(卵胞刺激ホルモン):83.9(高値)
👉 閉経後によく見られる数値です。卵巣の機能が低下し、脳ががんばって刺激している状態
■ エストラジオール(女性ホルモン):5.0未満(著しく低い)
👉 閉経後で、女性ホルモンがほとんど出ていない状態
・自律神経の乱れ
・感情の不安定
・不眠、冷え、イライラ、かゆみなどの原因になります
■ 血糖(90分後):134mg/dL(※経口ブドウ糖負荷試験と推測)→実は食後40分くらいでした
👉 軽度高めですが、大きな問題はなし
■ HbA1c(平均血糖値の目安):5.1(正常)
👉 血糖コントロールは良好
まとめると、女性ホルモンがほとんど出ていないため、更年期の不調が出やすい状態でした。甲状腺ホルモンや血糖値は正常範囲内のため、糖尿病の心配はなく、現在の体の不調は更年期やストレスによるものと考えられます。
治療法としては、対症療法(鎮痛薬・漢方薬・抗うつ薬・抗不安薬)、サプリメント、ホルモン補充療法、メルスモン(ヒト胎盤由来製剤)などがあります。中でもホルモン補充療法やメルスモンは効果が高い治療法ですが、リスクも伴うため、すべての人に適用できるわけではありません。また、バランスのとれた食事・十分な睡眠・リラクゼーション・適度な運動といった生活習慣の見直しもとても重要で、忘れてはならない効果的な対策だと感じています。
今後の治療として、私は漢方薬を試してみることにしました。今回は、加味逍遥散(かみしょうようさん)という漢方薬を2週間分処方していただき、様子を見ることにしました。バランスの取れた食事や睡眠、運動といったものの見直しどころではなく、とにかく対症療法を試すので精一杯な感じです。
まずは今回、自分の体がどうなっているのかがわかっただけでも、少し方向性が見えたような気がして、ホッとしています。ただ、どの治療が本当に効くのかはまだわからないため、これからいろいろな方法を試していこうと思っています。そして何より、私自身が感じたのは、心や体の不調を「そのうち治る」「年のせい」「面倒だと」とやり過ごさず、きちんと病院で診てもらうこと、病院が合わなければ他の病院にもかかってみるという行動が、これからの人生に大きな違いを生むのだということです。同じように悩んでいる方にも、ぜひそのことを意識してもらえたら嬉しいです。
一人で抱え込まないこと。
できるだけ早く行動してみること。
1回で全てが解決するわけではないからこそ、いろいろ試してみて、諦めないこと
これらを忘れないでくださいね。
そして、私自身へのメッセージでもあります。
HESUN ヘスン