遠く離れても、心は繋がってる~韓国に嫁いだ友達との再会


去年の話になりますが、長い間会えていなかった大切な友達と、また連絡が取れるようになりました。彼女とは短大時代、九州で出会いました。私が一人暮らしをしていた頃、本当によく彼女のお家にお邪魔しては、お泊まりさせてもらったり、食事をごちそうになったりしていました。たわいもない話で笑い合ったり、自分のことのように悩みを共有したり、まるで姉妹のようでした。

卒業後はそれぞれの道を歩みはじめ、私は地元の島根県に戻り、彼女はしばらくのあいだ九州の実家にいました。その間、お互いに恋愛や仕事、実家の家族のこと、そして結婚・出産と、日々を必死に生きていたのだと思います。

私が最初の夫と結婚したときには、彼女も式に来てくれました。その後、彼女は韓国の方と結婚し、韓国で暮らすことになりました。やがて連絡も少しずつ減っていき、気づけば年に一度、年賀状を送り合うくらいに。そうこうしているうちに、随分長い年月が経っていました。でも昨年、ふと思い立って連絡先を探し、なんとかまた繋がることができたんです。久しぶりに話したのに、間が空いていたなんて思えないほど自然に話ができました。お互いに話したいことが山のようにあって、本当に話が尽きませんでした。お互いに子どもがいることは知っていたのですが、実際どんなふうに育っているのかは知らず、子どもの話でも大いに盛り上がりました。

会話の中でとても印象的だったのは、彼女が韓国へお嫁に行ったとき、日本人として見られるわけでもなく、韓国人としても完全には受け入れてもらえない、そんな「どちらでもない立場」で生きていくことの難しさでした。私たちは、「在日韓国人」として日本で生まれ育ちました。だからこそ、彼女の言葉がとても深く胸に刺さりました。

しかも韓国では、学歴や職業、収入で人を判断されることも多く、たとえば夫の職業や、子どもの成績までもが、母親としての「評価」に繋がるようです。その影響もあって、彼女はとにかく「子どもたちにはしっかりとした教育を」と、全力でサポートしてきました。受験期には、有名塾が集まる地域に引っ越したり、他にもたくさんの習い事をさせてきたそうです。聞いてるだけで、その根性に「すごいな…」と、ただただ圧倒されました。どれだけのプレッシャーや不安の中で、子どもたちを信じて支え続けたのかと思うと、胸が熱くなりました。そんな努力の末に、子どもたちが結果を出せたとき、それまで距離を置かれていた周囲の母親たちから、はじめて「認められた」と感じたのだと話してくれました。

でも実際には、繊細なお子さんがいて、韓国特有の風習や教育スタイル、激しい競争社会の中で、心が押しつぶされそうになった時期もあったそうです。しっかりとした社会人になっていますが、今でもその子を見ていて心配になると言っていました。

特に韓国では、学歴や成績がとても重視されていて、小学生のうちから夜遅くまで塾に通うのは当たり前のような環境です。良い大学に入ることが、その先の人生の安心材料として強く信じられているからこそ、子どもたちは早くからそのプレッシャーを背負わされてしまいます。

また、子どもの教育に対する親の関わり方がとても大きく、特に母親がすごいのだそうです。地域や学区、塾の選び方一つで、母親同士の間に見えない競争が生まれるみたいです。

「誰の子がどの学校に行ったのか」「どんな習い事をしているのか」「どれだけ結果を出しているのか」…。そんな比較の視線が日常です。彼女も何度もつらい思いをしながら、必死で子どもたちを支えてきたのだと話してくれました。

でも、ふと思ったんです。日本ではどうなんだろう? 私は、いわゆる「ふつうの家庭」で子どもたちを育ててきました。よくある習い事をさせたり、受験期には塾に通わせたりもしましたが、正直なところ、ここまで強いプレッシャーを感じたことはありませんでした。

韓国の教育事情って、裕福な家庭や「上の階級」の人たちの話なのかな?とも思っていましたが、彼女の話を聞いて、そうではないことに気づかされました。韓国では、たとえ特別なお金持ちでなくても、「いい学校に行かせないと、将来がない」という空気が、社会全体に強く流れているそうです。だからこそ、一般的な家庭の親たちも、できる範囲で必死に塾や習い事に通わせたり、教育に関する情報を集めたりして、「競争」から落ちないようにと、すごくがんばっているんだとか。

日本でも、もちろん受験戦争や学歴の話はあります。でも、家庭の中でもずっと「勉強」が中心にあるような空気は、やはり韓国の方が強いのかもしれないと感じました。とはいえ、思い返せば私も、子どもたちが幼稚園の頃には、いろんな習い事をさせていたんです。「良い教育を受けさせたい」「将来のために役立つはず」そう思っていました。でも途中で気づいたんです。詰め込みすぎても限界があるし、何より大切なのは、子ども自身がやりたいと思うかどうかです。良かれと思っていたはずのことが、結果的には子どもたちの時間や自由を奪っていたと気づいたとき、なんとも言えない後悔のような気持ちになりました。

今の私は、「子どもは子どもらしく、のびのび育ってくれたらそれでいい」と思っています。たとえ受験で思うような結果が出なくても、自分が進んだ場所を「最高の場所」にしていける力を持ってくれたら、それが一番の強さだと信じています。

そんな自分の経験や想いもあったからこそ、久しぶりに話せた彼女との時間は、どこか深く響くものがありました。

思い切って連絡をしてみたことで、去年の10月、ついに韓国まで会いに行くことができました。何年も会っていなかったのに、まるで昨日も一緒にいたかのような感覚で、本当に楽しい時間でした。

お互いに、環境も国も違う中でいろんなことを乗り越えてきたけれど、今でもこうして繋がっていられることが、何より嬉しく、心強いです。これからも、変わらず連絡を取り合いながら、お互いの人生を見守っていけたらいいなと思っています。

HESUN ヘスン

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ヘスン

1972年島根生まれ。愛媛・松山を中心に占い師として活動しています。詳しくはこちらから。ご相談やイベントのご依頼はこちらから。Instagramもやっています。

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